Archive for the ‘ファミリー通信(3カ月毎更新)’ Category

ヒジノ通信vol.10/相続におけるもめごとは他人事ではない

2017-05-01

「うちには相続は関係ない」
そんな風に思っておられませんか?
今回はごく普通のご家族にご家族にも争族が起きてしまうことを、相談事例よりお伝えしたいと思います。
ご相談者は30代男性のAさん。
家族関係は上の写真の左上にある家系図のようになっています。
昨年Aさんの祖母が亡くなられ相続が発生しました。
葬儀の翌日、叔父が持ってきた用紙に、実印を押して印鑑証明書と一緒に送るよう指示されました。
よく分からないものに実印をつくことに不安を感じたAさんは、どうしたら良いのか僕に相談に来られました。
見るとその用紙は財産を受け取る権利を放棄する「相続放棄申述書」でした。
そこには相続財産の概要額が鉛筆書きされてありました。
Aさんはここで初めて、この用紙がどんなものか、そして自分が祖母の相続における相続人であることを知りました。
Aさんは小さい頃に母を亡くされていたので、母に代わってAさんと叔父の2人が相続人となっていたのです。
相続のことに無知な自分に、ドサクサで相続放棄させようとした叔父のことをAさんは信用できなくなりました。
そして祖母の財産を、改めてご自身で詳細に調べました。
相続人は金融機関や役所に対して(亡くなられた)被相続人の相続財産を開示させる権利があるのです。
財産調査をした結果、驚く事実が判明しました。
叔父が鉛筆書きしていたものより、大きな財産が残っていたのです。
Aさんは財産が欲しいわけではなかったのですが、叔父が許せなくなり、ご自身の法定相続割合である2分の1を要求されることになりました。
その後、話はこじれて、叔父は交渉の代理人として弁護士を立ててきました。
更に叔父は生前に祖母の世話をするために数百万円使ったなど、全く根拠のない寄与分まで請求してきたのです。
当然和解には至らず、現在家庭裁判所による調停に入っています。
このように相続人の一人のちょっとした出来心が争族に発展し、収集がつかなくなります。
もし祖母が元気なうちに、ご家族に気持ちを伝えたり、遺言書を残したりすることで、揉めることはなかったのかもしれません。
相続対策にまだ早いはありません。
ご家族のために、いつ起きるか分からない相続に今すぐ備えておかれることをおすすめいたします。

ヒジノ通信vol.9/事業の承継について考える

2017-02-01

広島県の県北の三次市というところに、Uターンして父親の農業を継ぐことになった友人がいます。
三次市では米作り続けていけない高齢の方が増えています。
その米作りを請け負うとともに野菜の栽培もして、料理人の経験を活かして将来は農家レストランや農家民泊をするのが彼の夢です。
かといって経験のない者が農業を継ぐということは容易なことではありません。
専業として収益を出していくには相当な覚悟と試練が必要です。
彼のご両親は嬉しい限りですが、なぜ父の農業を継承することを決心されたのでしょう。
それは早い時期から後継者としての意識が備わっていたからではないかと僕は考えます。
では今あなたが何かの事業をされているとしたら、その事業は将来どうなって欲しいですか?
後継者は決まっていますか?
会社や家を継いでもらうとしたら後継者が必要ですね。
まだ先のことだからと思っていても、ご自身がいつまで健康でいられるかは誰にも分かりません。
それに後継者候補と考えておられる子や孫が、あなたの事業のことを果たしてどう考えているのか、どのような人生設計をされているのか、お話されたことはありますか?
今回は事業の継承について考えてみましょう。
事業をされていない方は会社を家に置き換えて考えてみてくださいね。
事業承継を考えるとき必要なポイントは大きく2つ、経営の継承と財産の継承です。

<経営の承継>
①後継者を決める
事業を存続するためには後継者が必要です。
ご一族にいなければ第三者をたてる必要が出てきます。
M&Aもありますが、出来たらかわいい子や孫に継いでもらいたいものですね。
そうする為には早い段階からの準備が必要になります。
なぜなら子どもさんは遠方で新しいご家族と生計を立てていることもあるのです。
お父さんの事業に興味はありながらも、家を出てしまっているご子息も多いはずです。

②後継者の育成
経営者の急逝で、何も分からず後を継がされるのは大変なことだと思います。
できたら経営者が元気なうちに、お役様や協力会社・従業員の方々と、後継者の間でいい人間関係を築いてもらいたいものですね。
後継者として相応しい知識や経験を得て成長してもらえると安心ですよね。

<財産の継承>
③自社株の買取
経営者としての器であったとしても、実質的に経営者としての権利がない状態だとないんかと不都合も起きてきます。
後継者は今の株主から自社株を買い取る必要があります。
ただ自社株の買取額は、今まで積み上げてきた利益の蓄積などで大きく変動するため、気が付けばとんでもない高額になっている可能性があります。
もし買取資金を用意できなかったらどうしたらよいのでしょう。
第三者に経営を乗っ取られることがないよう、どんな準備が必要か考えておきませんか?

④事業用資産の買取
自社株以外にも、これから会社を経営していくために、後継者ご自身の名義に変える(買い取る)必要があるものがあります。
事業でつかう土地や建物や機械設備などです。

⑤経営者の相続対策
上記③④の財産の承継については、経営者の相続のタイミングで行うことで、税の面においてもより有利になる可能性はあります。
その為には必ず準備が必要となります。
以上、事業承継におけるポイントを簡単に挙げさせていただきました。
僕は事業承継を単に効率よく行っていただきたいわけではありません。
ご家族に事業を継いで欲しいという思いが少しでもおありでしたら、出来るだけ早く後継者候補の方とお話をして欲しいと思います
ご自身がいつまでお元気でいられるかということは分かりませんが、これから50年後には日本の人口8000万人の時代を迎えます。
市場の縮小や人手不足で、これから生き残れる事業はどんどん限定されていくでしょう。
そういった先までをご家族と一緒に考え、必要であれば何かしらの対策をしていくのが、親や経営者としての責務であると僕は考えています。

ヒジノ通信vol.8/相続保険に入っておられますか?

2016-11-01

健康寿命って聞かれたことがありますか?
 その名の通りいつまで健康でいられるかっていう年齢ですね。
 日本人の健康寿命は男性71歳・女性75歳で男女とも世界一ですが、それに対して平均寿命は男性80歳・女性86歳と、それぞれ健康で無くなってから、なんと9年間もあるのです。
 せっかく長生きできても、病気になったり要介護になったりしたら悲しいですね。
 医療は進化して平均寿命はどんどん延びていますが、やはり寿命というより健康寿命を全うしたいものです。
 前にこんなことがありました・・・
普段からグランドゴルフや囲碁の大会に出場するなど、すごく元気で頭もしっかりしていた80歳のお婆ちゃんがいました。
 ところがある日階段でつまづき足を骨折し入院してしまいました。
 骨がくっつくまで何日かベッドの上で安静にしていましたが、そのうち元の生活に戻るためリハビリを開始しました。
 ところがなかなか思うように歩けません。
 そうベッド上の生活で、足の筋肉が落ちてしまったのですね
 その後のリハビリもなかなか効果が出ず、杖をついての退院となりましたが、結局そのまま車いすの生活になってしまいました。
 前のようにグランドゴルフや囲碁と外に出かけることも出来なくなりました。
 どんどん気持ちは塞ぎ込んでしまい、家に閉じこもる生活になってしまいました。
 そうすると次第にもの忘れをすることが多くなりました。
 気になったご家族が病院に連れていくと、なんと認知症と診断されてしまったのです。
 このようにお年寄りは、ちょっとしたことが身体への大きなダメージとなり、
健康寿命を終えてしまうリスクがあります。
 あなたの周りにも、このような方がおられませんか?
 健康寿命を終え認知症や寝たきりのような状態になると、ご本人だけでなく、そのご家族も大変なことになります。
 それどころか、様々な法律行為ができなくなるのをご存知でしょうか?
たとえば
 ①土地や建物を売買する
 ②生前贈与をする
 ③遺言書を作成する
 そんな契約ごとが一切できなくなります。
 ちょっとしたことがきっかけで、このようなことになるんですね。
 どうせ先でされることでしたら、心身ともにご健康なうちに、相続の準備をされることを切に願います。
 例えば自動車事故って、起きるかどうかわからないのに、ほとんどの方が自動車保険に入ってますよね。
 火事もあるかないかわからないのに、火災保険に入りますよね。
 ではお亡くなりになるかどうかは・・・
 そう、人はいつか必ずお亡くなりになるんです。
 だからといって相続保険って入っておられますか?
 保険は事が起こってしまってからでは入れません。
 まだ入れる今のうちに、先の相続で盤石な備えとなる相続保険をご検討下さい。。
 ちなみに相続保険とは、遺言書や生命保険など相続に備えることを総称して、僕がそう呼んでいるのです
 子どもたちが揉めることがないよう、円満な相続のためにどんな備えが必要なのか考えてみませんか。

ヒジノ通信vol.7/生命保険を相続の備えに

2016-08-01

 今回は相続において生命保険がどのように活用できるかについて、僕が昨年ラジオ出演した際のパーソナリティOさんとの掛け合いでお伝え致します。
『生命保険を相続の備えに』
 GO!GO!びんご「こちら情報アンテナ」エフエムふくやま(H27年5月6日生放送
◆ヒジノ
 私もOさんも誰しも必ずいつかはお亡くなりになるときが来ますよね。
 ▼パーソナリティ
 そうですね。
 ◆ヒジノ
 相続というのは人がお亡くなりになったときに発生する財産の継承のことを言うのですが、相続にはおおきく三つの課題があるといわれています。
 重要な順序で「財産分割」「納税資金準備」「節税対策」の三つです。
 まず財産分割についてですが、
これは子供さんなど相続を受ける人たちがけんかすることなく思うように分けることが出来るかという課題です。
例えば家や土地は平等に分けることは難しいですよね。
 それからご長男など後継ぎの方にすべての財産を相続させたい方もおられますが、二男、三男といった法定相続人にも最低限受け取れる相続割合があるのをご存知でしょうか。
 専門的には「遺留分」というのですが、これはいくら遺言書を書いたからといって決して侵害できない相続人の権利となっています。
 二つ目は納税資金準備です。
 相続財産に相続税がかかる場合、基本10ヶ月以内に現金で納めないといけません。
 ほとんどの財産が不動産のため納税資金を準備できず土地を売却されるといった話を聞かれたことはありませんか?
 相続税がかかるのか?いくら準備しないといけないのか?前もってわかっていたらこの方も土地を手放すことなく準備できたかも知れませんね。

 三つ目は節税対策です。法的に認められている制度を知ってより有利に財産を遺してあげることができたらいかがでしょうか。
 ▼パーソナリティ
 では、なぜ生命保険なのですか?
 ◆ヒジノ
 生命保険はこれらの課題を解決できる手段の一つとして有効だからです。
 まず生命保険は人がお亡くなりになったときに保険金というカタチで現金が用意できます。
 しかも500万円×法定相続人の数までの保険金は非課税になります。
 さらに保険金は受取人固有の財産といわれており、ある程度は民法上の相続財産から外され指定された受取人に必ず渡せる財産とすることが可能です。
 このように生命保険でしかできない相続対策で思いをカタチにして遺してあげることができるのです。
 ▼パーソナリティ
 実際、自身がどのくらいの現金を残しておくべきか?良くわかりませんよね?そのあたりまで土野さんがアドバイスされるのですか?
 ◆ヒジノ
 とは言いましても税や法律が関わるので普段私は税理士・行政書士・司法書士といった専門の方々と連携しご相談にお応えしています。
 税計算や遺言作成などそれぞれ専門分野がありますが、このような専門家と普段やりとりのない方が誰に相談すべきかわからないのは仕方がないことです。
 私はこういった税や法律のことも幅広く勉強し、皆さんの窓口としてより分かりやすい言葉で情報提供できるよう心がけています

ヒジノ通信vol.6/マイナス金利

2016-05-01

『マイナス金利家計に波及』2月18日の日経新聞トップを飾ったタイトルです。「マイナス金利ってどうなるんですか?」とたくさんの方から聞かれます。
 これは簡単に言うと、普通はお金を貸すと利子をつけて増やして返してくれるのですが、逆に利子をとられてお金が減って返ってくるということなのです。
 今すぐそうなるという訳ではありませんが、分かりやすく言うとそういう意味合いなのです。
 マイナス金利恐いですね。
しかし実際にこんなことがあったら大変ですね。
 ではなぜ国は金利をマイナスにしたのでしょうか?
 どうも政策の主たる目的は市場を活性化させることのようです。
 今まで銀行が安全確実な投資先としてみてきた日本銀行にお金を預けても、これからは逆に資産が減ってしまうため、銀行の積極的な投資を市場に向けていく、そんな流れを期待しているようです。
 しかし銀行もほとんど利息がとれない融資に力を入れるのでしょうか?
 2月には債券市場で長期金利の代表的な指標である、
新発10年物国債利回りが過去最低の0.02%まで下がりました。
 これは分かりやすく言うと、100万円を10年間預けても利息は毎年200円しかつかないということなんです。
 実はこの0.02%という指標は、生命保険会社などで新商品の設計に使用される数値ですから、
今後生命保険は掛け金が値上げされる商品に差し変わっていくことが考えられます。
 我々が日ごろ当たり前に使っている銀行も、これからは利用するだけで預金管理料みたいな手数料を取られる可能性もあります。
 高金利がウリだったインターネット系のある銀行も、
普通預金の金利を0.02% → 0.001%まで急激に下げたようです。
 金融各社は今後お客様から預かったお金をどういった手段で運用していくのかが、この混乱期を乗り切るための重要ポイントでしょうね。
 生命保険各社は昨年から一時払い終身保険の販売停止や値上げを決定しました。
 この一時払い終身保険とは最初に掛け金を一括払いすると利息がついて数年先から預けた額より増えていくという商品です。
 生命保険の中でもわかりやすい金融商品のひとつとして、銀行をはじめとする代理店の主力商品として販売されてきました。
 しかし金利の減少が急激に進みこの商品の運用が難しくなってきたのです。
 おそらく一時払い終身保険に限らず、貯蓄性商品をはじめとする保険商品の改定が、今後急ピッチで各社行われていくと思われます。
 それから住宅ローンの借り換えが増えています。
 僕もマンション購入資金は借り入れなのですが、近々借り換えを検討しようと思っています。
 ただこれは単純に表向きの金利だけで見てはいけないようです。
 銀行出身の友人に聞くとウラに見えない金利があるようで、ここは銀行や担当や交渉しだいで大きく変わるブラックボックスといっても過言ではないようです。 それからヨーロッパでは既にマイナス金利の国が幾つかあるようですが、住宅ローンを組むと利息が貰える銀行があるようです。
 利息を払うのでなく受け取れるなんてびっくりですね。

ヒジノ通信vol.5/認知症と相続の対策について

2016-02-01

『認知症』という言葉を最近よく耳 にしませんか。
認知症になると記憶ができないとか徘徊するとか、ご本人もお世話される方も大変だとよく聞きますが、更に大変なことが起きるのをご存知でしょうか?
先日、ある税理士さんの勉強会で聞いたのですが、今から10年後には、高齢者の4人に1人が認知症になるそうです。
 今後、高齢化社会が進む中で、僕はこの数字を危機的状況だと感じます。
 誰しもご自身がそうなることを想定して、今から万全の対策を打っておかれる必要があるのではないでしょうか。
 では、かつて痴呆症と呼ばれた認知症とは、どのような状況を言うのでしょう。
ここまではよく知られていることだと思います。
 実は認知症になると、それまで出来ていた財産の取扱いや様々な法律行為がご自身で出来なくなるのです。
 例えば銀行預金の引き出しや不動産の売買契約や遺言書の作成といったことなどです。
 そしてそれ以降はご本人に代わり『成年後見人』が代理で行うようになります。
 これは成年後見人制度という「判断能力が不十分な人を法的に保護し、支える為の制度」によるものです。
(認知症だけでなく、知的障害や精神障害の場合も同様です)
 ここで法律行為とは、
①不動産や預貯金の管理
②介護施設への入所の契約
③相続での遺産分割協議
といったものですが、ちなみに預金を下ろす場合、使用目的が認知症のご本人にどうしても必要なこと以外は引き出しが出来ません。 たとえば介護人が介護にかかる費用や生活費など、どこまで許されるかの線引きが難しいようです。
 成年後見人が認知症の方の財産権を守るため、それ以外の方はたとえ身内であっても、財産に関わることは何も出来ません。
 ちなみに、成年後見人は認知症になる前に、公正証書にて子供さん等に指定することが出来るのですが、指定がなければ、家庭裁判所で弁護士などの第三者に指定されることもあります。
 望まない他人に財産管理されるかもしれないことを考えると、前もって成年後見人を安心できる人に指定されておくことがご安心かと思います。
 ところが、そうは言っても、認知症になり成年後見人がつくと、認知症のご本人が望むサービスに必要な資金も、ご自身の口座から出すことが出来ず、もどかしく理不尽な結果になる場合も想定されます。
 この現状について皆さんはどう思われますか・・・
 でもご安心ください。実は成年後見人制度の他に凄い制度があるのです。
 それは信託です。信託銀行とか投資信託とか、この言葉は聞かれたことがあるかと思いますが、それぞれ少し意味合いは違います。
 これは簡単に言うと、ご自身(委託者)の財産を一旦第三者(受託者)に信託して渡してしまう仕組みです。
 そして、ご自身が先で認知症になったりお亡くなりになったりした時に、事前にご自身が指定した通りに、ご自身や子供さんなど(受益者)に確実に財産が渡せるように出来る仕組みです。
 ご自身の財産が一旦第三者(受託者)に移転しているので、認知症になった際にも財産を動かすことが出来るのが凄いところです。
(次頁にて図解説明)
 例えばこんなことが出来るとしたら如何でしょう。 障がいをもつ孫の将来が心配のお祖父ちゃんが、ご自身がお亡くなりになった後、相続財産を孫の生活費として毎月定額で渡してあげるようなことができたら。
 通常孫は法定相続人ではありませんので、何もしなかったら相続財産を孫に渡してあげることは出来ません。
 遺言書で渡すことは出来ますが、毎月幾らずつでなく一括で渡すようになりますので、孫が生活費以外で使ってしまったり、未成年の場合に付く後見人が使い込む事例もあったりして一抹の不安も残ります。
 それに対して、財産の行く先や受取り方まで今指定できるのが信託です。
 信託の仕組みは下図の通りですが、委託者(お亡くなりになる当事者)、受託者(財産を預かる方)、受益者(財産を受け取る方)、ケースによっては指図権者(財産に対して指図する方)をたてることが出来ます。
 先述の話であれば下図のように委託者が祖父、受託者が子、受益者が孫になります。
 信託はパズルのように色々な使い方でその可能性は未知数のようですが、これから財産継承において中心的な存在になることは間違いないと思われます。
 信託できる財産は預貯金や不動産といった現存する財産になりますが、最近はお亡くなりになった時に生命保険会社から支払われる保険金を信託できる仕組みを商品化した保険会社もあります。
いつやって来るかわからない相続のタイミングで、必要な現金が必ず準備できる『保険金』を原資として信託する仕組みは、今後相続対策において重要な役割を果たすと思われます。
 このような使える制度を、ご自身の思いに合ったカタチで取入れられることをご検討されてみてください。

ヒジノ通信vol.4/贈与

2015-11-01

 マイナンバーのカードは届きましたでしょうか。
 来年のスタートにむけ、巷ではあること無いこと様々な噂が飛び交っていたりして、皆さんの関心の深さを感じます。
 ちなみに皆さんの関心の高い税金の話の場合、マイナンバー制度が始まっても国の制度に沿って清廉潔白であれば、何も心配ありません。
 今後お金の流れがガラス貼りになっていくことを前提に、色々と正しく整理していかれると安心かと思います。
 「預金を全ておろして金庫に移せば大丈夫」なんて声もありますが、そんなことは決してありませんのでお気をつけ下さい。
 そこで今回はもうすぐ年末ということで、12月31日日付が1年の締めとなる贈与についてお伝えしたいと思います。
教育資金に住宅資金に結婚・育児資金と、贈与として使える幅はとても増えましたが、ここでは現金贈与について考えてみましょう。
 贈与税は相続税法の中で規定されているように、贈与は相続と関連して扱われます。
 生前に行われた贈与は最終的に相続が発生したときに改めて清算されることを知っておいていただきたいのです。
 年間110万円迄の贈与には税金がかからないからと、今年から増税となった相続税の節税目的で、財産を毎年少しずつ子や孫に移していく生前贈与をされる方が増えているようです。
 先に財産を受け継ぐことで子や孫が助かることもあり、単純に節税の話だけではないのですが、問題は正しく贈与が行われているかどうかということです。
わからないから大丈夫と、ご自身の預金口座から子や孫の口座へ振り分け、その通帳をご自身が保管されている状態の口座を『名義預金』と言いますが、これは決して贈与された状態にはなっていません。
 当然ご自身の財産として相続のとき他の財産と合算されることになります。
 相続税が節税出来たと思っていても、相続税の税務調査で贈与されたものと認められず、不本意な結果となるのです。
 ではなぜ名義預金が贈与と認めてもらえないのでしょうか?
 左の贈与の定義を見ていただくとおわかりかと思います。
 つまり名義預金は子や孫といった「もらう」側の了承が無かったものとみなされるのです。
 実は贈与は口頭での意思確認でも成立しますが、証拠が残りません。
特に税務調査で言った言わないの問答は通らないので、何か証拠を残しておくことで贈与の事実を証明できるでしょう。
 では贈与を認めてもらうためのポイントを左にいくつかあげてみましょう。
 贈与の定義に基づき、贈与する人と受ける人の意思が客観的に確認できることが前提のようです。
 あくまでもこれで完璧と言うわけではありませんが、税務当局から贈与事実の心証を得るための安心が持てると思います。

ヒジノ通信vol.3/マイナンバー制度

2015-08-01

 マイナンバー制度って最近よく耳にしますね。
2016年から運用がスタートされる予定の「税と社会保障が一体化する」という制度ですが、我々にとってのメリットは
 ①個人情報を一元管理することで事務手続きが簡素化される
 ②事務コストが削減される
 ③所得の過少申告・扶養控除・生活保護の適正化
などがあげられます。ではデメリットはというと、まずは個人情報の流出が懸念されます。
 マイナンバー制度は当初は行政機関のみで使われますが、次第に民間での利用も拡大されていきます。
 そして怖いことですが皆さんが金融機関に預け入れている資産内容や動きが国に正確に把握されるようになっていくでしょう。
 今は税金や社会保険料は給与など所得に対して計算されていて、定期預金や不動産など保有する資産までは考慮されていません。
 それは正確な資産が把握できないからです。
 仮に金融資産が1億円あっても、給与など所得がないと「低所得者」となり、低所得者向けの給付金がもらえたり社会保険料の負担が少なかったりします。
 しかし、マイナンバー制度の導入後は、資産も考慮に入れることになる可能性があります。
 さらに一部の方にとってマイナンバーで最も恐ろしいことがあります。
 それは国民の国内の財産が正確に把握され、金融所得の課税が一体化し、総合課税が導入される可能性があることです。
 現在は銀行預金等の利息や株式等の利益にかかる税率は、基本的に分離課税で約20%です。いくら稼いでも一律でこれ以上にはなりません。
 一方、給与・不動産・事業などの所得は累進課税となっていて、所得が増えれば増えるほど税率が上がる仕組みになっています。
 2015年(平成27年)以降の税率は下表のとおりです。
 1800万円超だと、約10%の住民税と合わせて約50%以上という恐ろしい税率となっています。 総合課税になって困るのは、資産運用で稼いでいる高収入サラリーマンや富裕層ということになります。
 現在はウン億円の配当所得を得ている富裕層よりも高収入サラリーマンの方が税率は圧倒的に高いという逆転現象がおきているのが驚きです。
 ではより日常的な話をしましょう。
 マイナンバーで税と社会保障だけでなく、銀行・証券・保険といった金融そして医療…といずれ様々な分野のデータベースが繋がるでしょう。
 そうなると今まで水面下に隠れていたことが見えるようになります。
 例えば過去の所得税の確定申告や贈与税や相続税の申告モレなども炙り出され、世の中がパニックになるのではと正直心配しています。
 1年間(1月1日~12月31日)に110万円を超える現金など資産を受取ると贈与税を支払う義務があるのはご存知の方も多いかと思います。
 しかしこの贈与税のことを知らず、過去に妻や子や孫の口座に110万円を超える振込みをして、贈与をしたという意識もなくもちろん贈与税も払われていないケースはよく見かけます。
 この振込みがどう使われたかにもよるのですが…
 家族に渡すお金に税金がかかるなんてウソみたいな話ですが本当です。
 これは先で相続が発生した際の税務調査で発覚するケースが多いようですが、マイナンバーが本格稼働するとボタン一つでいつでもわかるようになると想定されます。
 給与にかかる所得税の扶養控除など家族個々の年収が明確になるとゴマカシはきかなくなるでしょう。
 税理士の友人とのウチワ話ですが、税金をとられず残したければ、現金を隠し持っておくしかないのかも知れません。
 このようなお金の動きだけでなく、マイナンバーで過去の医療機関での診療履歴や、お店での購買履といったプライバシーが一元管理されるようになりそうです。
 そうなることを想定した上でまず出来る正しい対策を考えていく必要がありそうです。

ヒジノ通信vol.2/名義預金 あなたは大丈夫?

2015-05-01

名義預金」という言葉を聞かれたことはありませんか。
  ご自身が子供さんやお孫さん名義でつくられた預金口座に入金し、その通帳をご自身で持っておられる状態をいいます。
  私はこの「名義預金」をされている方に実によく出会います。
 入金額の多い少ないはありますが、どのご家庭にも一つや二つの名義預金口座があるのではないかと思います。
 さてこの名義預金、いったい皆さん何のためにされているのでしょうか?
 名義預金を作られたきっかけは例えばこんなケースがあるようです。
 例えば銀行などの窓口へ行った際に、

【担当者】
 「○○さんは預金をたくさんお持ちなので、相続のことも考えて、そろそろお孫さんに分けておいてあげたらいかがでしょう。お孫さん喜びますよ」

 このように勧められたとします。 すると勧められたお客様は、

【お客様の気持ち】
 「かわいい孫たちには幾らか財産を渡してあげたい。税金もとられたくない。かといって今現金を渡すと孫たちはすぐに使ってしまうかもしれないし、自分の財産が減るのも心配。通帳を自分が持っていればお金が必要なときはいつでも引き出せるし・・・」

 そんな心境になるようです。
 この名義預金をはじめることでお客様の願いが叶うのであれば、お客様も喜ぶ、担当者も喜ぶで双方にとって良いことだと思います。
 しかしこの名義預金、お客様の思いがきちんと果たせるようになっているのでしょうか?

 もしかしたら、名義預金をつくったことで、
①将来相続税がかからない方法で
②孫にあげた(贈与できた) 
と勘違いされておられるのではないでしょうか。

 下の図をご覧ください。

 生前にあげた(贈与した)つもりだった孫1の名義預金は実は法律上、贈与されたことになっていません。
 なのでご自身が将来お亡くなりになった際、ご自身の相続財産として扱われます。
 相続財産は図のように通常法定相続人で分けられます。
 よってお客様が渡したかった孫1のものにはならないのです。
 また贈与がされていないため当然相続財産のひとつとして計算され、相続税の対象にもなります。
 このことを知らないままお亡くなりになり、天国からこの状況を見て何も出来ない自分なんて想像したくないですよね。
 ではなぜ名義預金は贈与されたことになっていないのでしょうか。
 そもそもお客様の誤解を承知で名義預金をつくらせる金融機関の担当がいるなんて考えたくないですが・・・
 贈与は次の定義にそってないと認められないのです。
《贈与の定義》
 財産を渡す人(贈与者)ともらう人(受贈者)がそれぞれ「あげる」と「もらう」の認識がないといけない。
つまりもらう人が知らないところで、あげる人が勝手につくる名義預金は贈与としても認められないのです。
 結果贈与されていないから相続財産となり、法定相続人で分けられることになったり、相続税の対象にもなるのです。
 この名義預金、本当に散見されます。
 皆さんも気をつけられてください。
 あなた自身も困らないようご両親にこのようなことがないか尋ねてみられてください。

 あわせて生命保険でも同じことが起こっています。
■契約者/ご自身
■被保険者/お孫さん
■受取人/ご自身
お孫さんがお亡くなりになるとその生命保険金をご自身が受取るというとんでもない形態になっています。
 これも生命保険というカタチの財産をお孫さんにのこしてあげたいというお気持ちで加入されたケースが多いようです。
 とても残念なことですが、これも名義預金と全く同様に贈与されておらず、ご自身の財産として将来相続財産となり、
保険の契約権が法定相続人で分けられ、そして相続税の対象として計算されることになります。
 ちなみに私はこれを「名義保険」と呼んでいます。
 
 名義預金に名義保険、
それをお持ちだったことに気づかれた方は当然ですが、びっくりされ悔しさや悲しみすらお感じのようです。しかし手遅れにならず早く気づけたため、改めて対策を打たれることが可能になっています。
 もし同じ状況であったり不安にお感じでしたら、一度私までご連絡いただけましたら個別にアドバイスさせていただきます。
今回はこのあたりで。

ヒジノ通信vol.1/相続

2015-02-01

昨年から新聞やテレビ等で「相続」が盛んに取り上げられていますがなぜでしょう?
 それは2015年1月から相続税が増税となったからです。税金のかかる人が今までの1.5倍、簡単に言えば世の中のご家庭の約4軒に1軒は相続税がかかるようになります。税理士さんはじめ相続税申告や税対策に関係する方々の仕事も当然増えることになります。税金は我々の生活に欠かせないものではありますが、出来ることならなるべくかからないように可愛い子や孫に少しでも多く遺してあげたいものですね。しかし4軒に1軒って結構多いと思われませんか?
 ここで相続の基本的なお話になりますが、相続における課題は3つあります。
【課題①】財産分割・・・思うようにモメることなく遺すにはどうしたらいいか
【課題②】納税資金・・・相続税として納める現金をどのように準備するか
【課題③】節税・・・税がかかる場合いかに払いを少なく、子孫に多く遺してあげられるか
といったものです.節税に興味のある方は結構おられます。これは先に挙げましたように宣伝広告により皆さんがある程度の情報を得られた結果、課題意識をもたれているからかなと感じています。
 一方課題①の財産分割はどうでしょう?これに関する対策の宣伝広告は課題③の節税ほど多くは見かけませんよね。これでは皆さんに課題意識が起こりにくいのは当然です。
 ここで私が最も重要と思うのは課題①の財産分割です。これは財産の大小かかわらず誰にでも該当することだからです。
 例えば永年頑張って築かれた財産をかわいい子供たちに遺してあげたことで、公平に分けられないが為に仲の良かった子供たちが離散してしまうなんてケースがよくあります。そんなこと考えたくありませんよね。
 右下家計図を見て下さい。このご一族の課題があなたにはわかりますか?
 課題はご本人の思いに対しそれが実現できるかどうかで見えてきます。ここにいる「私」の場合「全ての財産を長男に渡したい」ということですがいかがでしょうか?
 私はよく「うちの子供たちは仲がいいから大丈夫」とか「子供たちに言ってあるから大丈夫」のようなことを耳にします。果たして本当に大丈夫なのでしょうか?
まず何も準備しないままお亡くなりになった場合を考えてみましょう。
 「私」が遺した4000万の財産は家計図の○囲みの法定相続人3人で分けることになります。
遺言がなければこの3人で分割協議なる話し合いをする必要があります。
 さてこの時「私」と生前の口約束で「一男が全財産を受取る」ことを了承した二男はすんなり印鑑を押してくれるでしょうか?
 もしかしたらその時二男は以前と状況が異なり子供の教育費に追われていたり、会社でリストラに合っているかも知れません。
 だとすると二男は自分も幾らか欲しいと要求されるかも知れませんね。
 一男はこれを拒否できるでしょうか?
 実は法律では相続人に不公平が生じないよう自分の財産でも全て自由にはできなくなっています。
 法定相続人には最低限受け取れる財産割合が決まっているのです。これを『遺留分』といいます。
 「私」の相続財産の遺留分は法定相続割合の半分にあたる妻1/4・一男と二男は1/8ずつ、つまり妻は1000万・二男は500万最低限受け取れる権利があるのです。
 ですので全ての財産を一男に渡すにはこの遺留分の問題を解決しておく必要があります。
 ひょっとしたら二男は遺留分を放棄しすんなり印鑑を押してくれるかも知れません。
 ただどうなろうとそのとき「私」は天国にいてどうすることもできないのです。
 では遺留分の問題を解決する方法はあるのでしょうか?
 方法はあります。
 ただ「私」が元気なうちにご自身の課題に気づかれ対策された場合の話です。
 気づかないまま何も手が打たれず最悪の結果となるのは悲しいことです。
  もし知る機会さえあれば何らかの手を打つことができるのです。
 他にも課題はありますが今回はこのくらいにて

Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0849827782 問い合わせバナー