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ヒジノ通信vol.20/節税対策など 相続を考える前にやっておきたい大事なこと
皆さんはご自身の相続について、すでに何かしらの準備などされておられるでしょうか。
まだ自分は大丈夫と思っていても、近親者の葬儀が行われたり、病気になったりと、それが考えるきっかけになったりするようです。
しかしお亡くなりになって相続が起きるまでのことで、考えておきたい大事なことがあるのです。
それはこれからの老後の生活のことです。
我が家の場合、両親は私と離れて愛媛県で生活しています。 父はずっと自営業者でしたので、いま両親の収入は夫婦合わせて月に12万円ほどの国民年金だけになります。
持ち家で住宅ローンはありませんが、固定資産税はかかるし、瓦屋根をはじめ消耗品には修理費用もかかります。
そうしていると父が要介護認定をうけ、デイサービスに通うようになりました。
ちゃんと生活していけているのか?
限りある貯蓄を食いつぶしていっていないか?
そんなことが心配になり、改めて両親の生活の1年間の収支を確認させてもらうことにしました。
まずは父の通帳から、収入は年金のみ、支出は電気代に下水道代に携帯電話代に・・・
ちなみにここには水道代という項目はありません。
なぜなら実家のある愛媛県西条市には『うちぬき』という、日本名水100選に選ばれた地下水(自噴水)がほぼ各戸にあるので、水道代がかからないんですよ。
そんな父の収支は年間数万円のプラスになっていました。
そして次は母の通帳です。
同じく収入は年金のみ、支出は食費が中心で、収支はほぼトントンでした。
ここで、実家の固定資産税や火災保険やデイサービスといった費用については、僕が負担しています。
そういうことで厳密に計算すると、実はマイナスになっているのかもしれません。
ここで少し心配なのは、ときどき父の思い付きによる大きな出費があることです。
数カ月前のことですが、勝手口のドアノブがすこし回転しにくいということで、知らない間にホームセンターの方と話を進め、ドアごと交換して、なんと数十万円も支払っていたのです。
ドアノブだけ交換することもできたはずなのですが・・・
詐欺ではありませんが高齢になるとこんなことが起きたりします。
金銭感覚にあまりにも現実とのギャップを感じ、この時から実家の生活費の収支については、私が定期的にみさせてもらうことにしました。
ちなみに皆さんは、ご両親の生活の現状を把握されていますか?
思い付きの買い物ならまだしも、例えば介護施設に入るようなことになったら、毎月定額の大きな費用が生活費にプラスされることになります。
その時その費用は誰がどこから支払うのか、イメージや準備はできているでしょうか?
私が終活や相続のアドバイスをさせていただく際、どんな財産がどこにどのくらいあるのか、まずここを明確にさせてもらっています。
このために財産目録を作成するのですが、ここには預貯金をはじめ今ある財産のすべてが記載されることになります。
しかしここでは毎月や年間の収支は見えてきません。
先述のように生活口座の通帳の一行一行を洗い出し、今の生活の収支はプラスなのかマイナスなのか、これからどうなっていくのか、
シミュレーションします。
そして最終的に残るであろう総財産に対して、円満な財産分割や税の問題について考えていただくため、これも見通しとして試算するようにしています。
相続税をできるだけ払いたくないとか、長男にすべて継がせたいとか、ご家族への思いは様々ですが、最も大事なのは、これからの老後の生活のことであると考えます。
皆さんもご両親のこれからの生活について、一緒に考えてみてあげられては如何でしょうか。
ヒジノ通信vol.19/子や孫に迫る 不足する年金の具体的解決策は
人生100年
2000万円不足
今年6月4日、日経新聞に掲載された記事は衝撃でした。
どうやら金融庁が正式に公的年金以外の資産形成を国民に促しているようですね。
つまり日本の年金制度は破綻しているということを、言い方を変えて伝えているように聞こえてなりません。
記事によると、男性が65歳以上・女性が60歳以上のご夫婦では、年金収入だけに頼った生活だと、毎月5万円以上の赤字となり、
これから20年生きるとしたら1300万円、30年生きるとしたら2000万円不足すると試算しています。
あくまでもあるご家庭のモデルケースの試算ではあるのですが、
ちなみにこの2000万円を、51歳の僕がこれから例えば65歳までに貯めていくことができるのでしょうか?
65歳まであと14年ですから、
2000万円÷14年÷12ヶ月≒12万円
なんと月に12万円ずつ貯めていく必要があるのです。
子育てや教育資金に出費がかさむ我々世代が、生活費の中から毎月12万円もの資金を捻出するのは至難の業ではないでしょうか。
しかし少子高齢化という人口のバランスが変わらない限り、この問題は当分解決しそうにありません。
それでも乗り切っていくためには、
やはりこの問題は個人や夫婦といった世帯単位で考えるものではないのかもしれません。
お祖父ちゃんやお祖母ちゃん、孫やひ孫も含めた一族で対処していくことも考える必要がありそうです。
自分は生涯現役で、100歳になっても仕事を続けるから大丈夫なんて人は心配ないのかもしれませんが。
考えるとなんだか怖くなりますね。
いずれにしても今後直面する長生きのリスクに対して、いかにして自分たちの生活を守っていくのか、非常に大きな課題となりそうです。
しかし現役世代のこのような環境に対して、一方でこんな現実があることをご存知でしょうか?
ご高齢者の終活や相続のご相談において、将来子や孫に残してあげたい預貯金などの財産をお持ちの方が結構いらっしゃいます。
ご自身では使わずに銀行預金などとして閉じ込めている状態なのですが、
そのままご自身に相続の時が来ると、相続税がかかる方なら、税が引かれたうえで子や孫に渡すことになります。
概算ですが、例えば相続税率が最低の10%の方なら、1000万円の預金から約100万円の相続税が引かれ、子や孫の手残りは約900万円となります。
何もしなければ、増えないどころか、減ってしまう危険性があるのです。
ところが生前贈与など国が認めた制度を使うことで、同じ1000万円を減らすことなく子や孫に継承することができるのです。
この資金がそのまま将来の年金に充ててもらえることは言うまでもありません。
もしくはこの贈与資金を原資として、子や孫が将来不足する年金のカバーを、確定年金や終身年金として受け取れる生命保険を用いて準備してあげられるとより効果的です。
将来残してあげるつもりで閉じ込めてある資金を、このように有効活用することで、子や孫の現在の出費を抑え、且つより有利に将来の生活を守ってあげることができるのです。
ご存知ない方は多いのですが、実はこれから相続が起きるまでの時間は有効活用できるのです。
ただこういった仕組みを準備するためには、税や法律や金融や保険といった専門知識や経験が必要です。
さらにその前に、親と子・祖父母と孫といった家族間で、個々の思いや将来設計について話し合い確認し合うことが重要です。
その為には、こういった専門知識をもって、ご家族に寄り添って一緒に考えてくれる専門家いわゆるファイナンシャルプランナーの存在が適任です。
この度の年金問題は子や孫の世代が100年時代を迎えるうえで大きな課題です。
『自分の家族は国に頼らず自分たちで守る』
是非そんな意識に切り替えていただき、ご一族が三代先まで円満であり続けますように、今我々でできることを進めてまいりましょう。
ヒジノ通信vol.18/配偶者を守る 民法の相続に関する部分の改正でこう変わる
今年1月から来年7月にかけて、民法のなかの相続に関する部分の改正が行われるのをご存知でしょうか。
昭和55年以来40年ぶりの大幅な見直しとなるようですが、
これは高齢化の現代に合わなくなった旧来の法が改定されるというものです。
主な内容は大きく次の6点となります。
❶配偶者の居住権を 保護する為の方策
❷遺産分割などに関 する見直し
❸遺言制度に関する 見直し
❹遺留分制度に関す る見直し
❺相続の効力などに 関する見直し
❻相続人以外の者の 貢献を考慮するた めの方策
となりますが、何やら難しそうですね。
ここで今回はその中から、❶の残された配偶者の生活を守るための新制度について、事例を用いて紹介いたします。
【事例】
Åさん(80歳)は妻(75歳)と2人で一戸建てに住んでいます。
一人っ子の長男(50歳)は、(妻と折り合いの悪い)嫁と2人で市内のマンションで暮らしていました。
そんななかÅさんは脳卒中で倒れ、突然お亡くなりになってしまいました。
四十九日が過ぎたころ、妻と長男の間でÅさんの財産の話になりました。
Åさんの財産は、評価額2000万円の自宅と預金1000万円の合計3000万円。
相続人は妻と子の2人で、財産の分け方を指定する遺言書がなければそれぞれ1/2(法定相続分)ずつ、
つまり1500万円ずつを目安にÅさんの財産を分ける話し合いをすることになります。
妻はÅさんと築いた家に、当然ながら住み続けるつもりでしたが、自宅だけで法定相続分の1/2を超えてしまっていたのです。
かといって相手は長男だから許してくれるだろうと思っていたものの、長男は(嫁に言われてか)法定相続分の1/2の権利を主張してきたのです。
長男が受け取る預金1000万円だけでは500万円分が不足となりますが、この分を妻が現金で渡す方法もあります。
ところが妻はそれを用意できず、結局自宅を売却して現金に換えて分け合うこととなりました。
そして妻は賃貸アパートでの生活を余儀なくされることになったのです。
このように妻と折り合いの悪い嫁の存在や、法的知識のある第三者の存在により、予期せぬ展開へとつながることが、実際によく起きています。
あるいは相続が起きたときの、子の家族の経済状態がどうかというのも影響します。
(孫の)教育費など出費に追われ大変な状態かもしれません。
権利のある分については貰いたいと感じるのは、誰しも自然なことかもしれません。
そんなことにならず、夫亡き後も妻が生涯自宅に住み続けられように来年2020年4月1日から、
『配偶者居住権』が新設されることになりました。
この制度を利用することで、配偶者はそのまま自宅に住み続けられるようになります。
子どもたちには、法定相続に見合う自宅の所有権が与えられますが、親が住み続ける以上売ることは難しくなります。
ここでこの制度を利用するために知っておくべき方法があります。
【方法1】
遺言書に、自分が亡き後も配偶者が住み続けられことを書いておく。
【方法2】
相続が起きた後の財産分割協議で、他の相続人に自宅に住み続けることを認めてもらう。
この2つですが、より安全で確実なために、 遺言書を準備されることをお勧めします。
昨今は再婚者が増えており、前妻(夫)との間に子がいる場合では、後妻(夫)と子が相続人となります。
離婚の原因が後妻(夫)であることも多く、これを子が恨んでいることで特にトラブルの発生が懸念されます。
こういったケースでは特にこの制度の利用が有効だと考えらえます。
ということで今回は、民法の相続に関する部分の改正(通称:相続法の改正)より、配偶者を守る新制度についてのお話でした。
相続において、ご家族に起こる様々なリスクに備えて何をすればいいのか?
ご家族の状況において個々に異なりますので、一度相続の専門家にご相談されてみてはいかがでしょうか。
ヒジノ通信vol.17/将来設計とリスクへの備えの重要性を事例から考える
皆さんは今までにご自身やご家族の将来設計について考えられたことはありますか?
今回登場するのは大手商社で管理職をされている50歳男性のAさん。妻と高校に通う長男・長女との4人家族です。
Aさんご夫妻がご結婚された今から20年ほど前、あるFP(ファイナンシャルプランナー)の方と、今後の人生設計について考える機会があったそうです。
その将来設計とは・・・
【男の子と女の子の2人を授かり、それぞれ公立の小中高の学校を出て、22歳で大学を卒業そして就職、二人とも30歳には新たな家庭を築かれる。
その後ご夫婦はお孫さんに恵まれ、ご主人のAさんは70歳で退職し老後の生活がはじまる…】
これがご夫婦が想像された平凡で幸せな将来設計のカタチでした。
かといってそうならない場合、例えば一家の大黒柱であるAさんに、万が一のことが起きる最悪のケースも考えておく必要がありました。
そこで、例えそうなったとしてもご家族が決して路頭に迷うことがないように、当時の収入に見合った必要最小限の生活費が準備できる生命保険に加入されました。
その後、ご夫婦は望まれた通りに2人の子どもさんに恵まれ、勤め先においても収入は順調に増え、生活も安定してきました。
将来設計を考えてから10年の間に、状況は大きく好転されていました。
そこで、当時のカケステが中心だった生命保険は、将来の子どもたちの教育費や、お二人の老後の資金が準備できる、より貯蓄性が高く効率のいい、高額なものに変更されたのです。
そして、更にそれから10年経った今、状況は大きく変化していました。
高校生のご長男が、極めて症例の少ない小児がんに罹患されたのです。
度重なる抗がん剤治療は副作用を引き起こし、ご長男は腎臓も痛めてしまいました。
そして人工透析を余儀なくされる状態となり、担当ドクターからこれ以上は手の施しようがないとついに手をあげられたそうです。
自分の子が障がい状態になり、しかも長く生きられない宣告をされるなんて、親はどんな思いでしょうか・・・
その後、Aさんは日本中の外科・内科・放射線科の名医と言われるドクターを訪ねて回られました。
どうにかして治せないか、直談判されたそうですが、どのドクターからも今の医学ではムリだと告げられたそうです。
ただここで手を差し伸べてくれた方がいたのです。
この方から、カラダに負担のかかる手術や投薬といった西洋医学ではなく、自然療法といわれる東洋医学での治療をすすめられました。
一般的に言われる健康食品のようなものなのですが、驚くことにご長男のカラダに変化が起きたそうです。
その後、ご長男のカラダのがん細胞は活性を失い、造影剤による検査においても、1年以上経った現在も、がんの存在は消えたままなのだそうです。
再発しないよう予断を許さない状況ではありますが、奇跡的にも安心できる状態となり本当に良かったです。
ただ今回このような大きな出来事があり、ご家族の状況が大きく変わりました。
ここでこの度、僕が担当FPとして2度目の将来設計の見直しをさせていただきました。
Aさんご夫婦の思いは、将来自分たちの亡き後も、可愛い子どもたちが、ずっと安心して生活を続けられることでした。
一度目の見直しで考えたご夫婦の老後の貯蓄はある程度に抑え、最終的に自分たちが亡くなった後、子どもたちに出来る限り有利に残してあげることが出来るように・・・
ここが今回の見直しの主目的となりました。
そしてAさんに万が一があったときにも、ご家族に十分な生活費が用意できる一生涯の保障を、生命保険で備えていただきました。
このように、必要なタイミングで、安心できる十分な資金が用意できるのは、銀行や証券と違い、唯一保険にしかできない大きな役割です。
この度は僕が担当FPとして、Aさんの将来の相続も視野に入れ、家族構成や他の資産や税や法律なども十分考慮させていただいた備えとなっています。
人生は山あり谷あり、ご家族の状況も時間が経つと変わるものです。
皆さんも将来設計とともに、安心できる老後の生活や次世代への継承にむけて、今一度考えてみられてはいかがでしょうか?
ヒジノ通信vol.16/空き家の背景にある真の問題とは
最近空き家に関する相談が増えてきました。
祖父母や親が頑張って築いてくれて、相続で遺してくれた家や土地が困りごとの原因になっているという話ですが・・・
ご親族としては、
誰も使用していないのに固定資産税を払い続ける必要があったり、
老朽化して修繕や解体の労力や費用の負担を余儀なくされたり、
更にそれで固定資産税が値上がりしたり、
かといって売りたくても売れなかったり・・・
誰しも良かれと思って空き家のままにしているわけではないのです。
空き家をはじめとする家や土地が、亡くなられた方の名義のまま変更されず「所有者不明」となっている土地が、なんと国の面積の約2割にも達しているそうです。
これは 「所有者不明土地問題」と呼ばれ、売買などの契約ごとが進まず、公共事業や地域活性化の足かせとなり、大きな社会問題となっています。
所有者不明土地が生み出される主な原因は、相続人となった子や孫が、
①みんな持ち家があっ たり、遠方で生活して いたりする。
②不動産が立地面な どの理由から貸したり 売ったりが難しい。
③登記費用がもったい ないからと手続きされ ないままになっている。
④相続人らによる財産分割の話し合いがこじれてしまった。
こういった理由で未だに祖父母や親の名義のままとなっていることが考えられます。
そしてそのまま年数が経って、孫やひ孫の代にもなると、、ものすごい数の相続人に増えていたり、もしくは逆に誰も居なくなっていたりもしかねません。
こうなるともう名義変更ができない状態に陥ってしまうわけです。
登記を管轄する法務局は、持ち主である名義人が死亡したことを把握することができません。
また死亡届を受け付ける市町村は、亡くなった人の土地は固定資産課税台帳にのっているその市町村の分しか把握できない現状があります。
このように情報が一元化されていない状態が、問題を生み出してきたといえますが、
戸籍(役所)と登記(法務局)がもつ情報はいずれ一元化される日がくるでしょう。
今年6月に国会で、市町村や民間企業やNPO法人が公共目的であれば、所有者不明土地を最長10年利用できる特別措置法が成立しました。
所有者が現れて明け渡しを求めた場合、利用権の終了後に原状回復して返還されるものの、これにより相続が起きた後の名義変更が今よりも進むのではないかと考えられます。
いずれにせよ相続が起きる前に、我が家の土地や建物を将来どうするか、子や孫と一緒に話し合っておくことが賢明かと思います。
そして必要であれば契約ごとや法的な手続きも、元気なうちに進めておかれるとご安心ではないでしょうか。
最近よく耳にする「仮想通貨」皆さんも一度は聞かれたことがあるでしょう。
紙幣や硬貨のような現物でない電子マネーとも言われる仮想通貨が、ここのところ狙われる事件が多発しています。
先日も70億円相当の仮想通貨が、数日のうちに3万を超える口座に分散するという、追跡困難な巧妙な手口での盗難が起きました。
AIが人間に代わろうというご時世で、インターネットやコンピュータといったインフラはどんどん整備されています。
利便性や投資商品としての魅力は大きいかもしれませんが、このような事件が頻発するのはそのセキュリティの整備がまだ過渡期の段階ということです。
国はキャッシュレス(現金を持たない)の時代を目指しており、我々は今後仮想通貨に関わる可能性は高いと思われます。
そのため我々は仮想通貨の特性を正しく知って上手に付き合っていく必要があります。
ちなみにこの仮想通貨も最終的には相続財産のひとつとなります。
カタチのないものですから、誰もこの存在に気がつかないまま闇に消えてしまったり、税の申告を誤ったりと、将来問題が起きる危険性は高いと考えられます。
利用者にはそうならない備えが今後必要になりそうです。
ヒジノ通信vol.15/介護認定者を初めて抱えた 家族の苦悩とは
皆さんのご両親はご健在ですか?心身ともにお元気ですか?
隠しておきたい身内のことながら、今回皆さんにも是非知っていただきたくシェアいたします。
77歳の僕の父もまだ判断力はしっかりしているものの、物忘れが以前より進んできました。
よくある状態なのでしょうが、忘れっぽさがイライラを募り、母や妹や孫と衝突を繰り返し、ついに体調を崩して入院してしまいました。
忘れっぽさが原因なのでしょうが、父も好きでそうなっているわけではなく、誰も責めることは出来ません。
家族のもとで自由に生活させてあげたいのですが、帰ってくるとまた衝突の可能性があるので心配です。
そんなことを尻目に、父はなぜ自分が入院したのか分かっていません。 これを世間では認知症と呼ぶのでしょうか。
父は自身が望んで入院したことを覚えておらず、長男の僕に病院に閉じ込められたと思っているようです。
病院は本人が望むならいつでも退院は可能だそうですが、精神的な負担を負うことになる母と妹は、また同じことが繰り返されることを懸念しています。
離れて暮らす僕が、父を任せっきりにしている二人の望みを、どうカタチにしていくか一生懸命考えました。
ただ考えるにも情報が少ないんですね。
そこで妹と一緒に、市の高齢介護課に相談に行きました。
数カ月前に受けた要支援2の要介護度の見直しや、利用したことのあるデイサービスやショートステイ以外のサービスについて、その内容や利用料金など窓口で教えていただきました。
そして帰って家族で話し合った末の解決策は、
『父と家族の間にほどよい距離感をつくること』
普段はしっかりしていて判断力がある父には、おそらくグループホームや、サービス付き高齢者向け住宅のようなところがベストだろういう声もありました。
ただ、これら施設の利用料は毎月数十万円も必要なのだそうで。。。
資産家ではない我が家には検討の余地がありません。
しかも施設の数が足りておらず、すぐには入所できないようでした。
そして何より父が望むのは家族と一緒に暮らすことなのです。
そこで家族でチャレンジできるいいアイデアが浮かびました。
それは実家から少し離れたところに、父が仕事で使っていた割ときれいな倉庫があるのですが、
ここを改装してくつろげる場所にしてみるのはどうかというものです。
父には実家かここか、居心地のいい方に居てもらえればいいのです。
さらにデイサービスやショートステイも合わせて利用してもらう、そのように進めてみようということになりました。
果たして父は気に入ってくれるのでしょうか?
表現として使いたくありませんがこれは「認知症の介護」なんですね。
言葉では知っていましたが、身をもって介護の現場の大変さや、何が重要か分かりました。
ヒジノ通信第12号は、実家の財産管理のため、認知症になる前に父と家族信託契約を交わした内容の記事でしたが、あれから9カ月でこんな状況です。
どうやらぎりぎりのタイミングだったのですね。
専門家として長男として、大切な家族を守っていくことは、僕の責務だと感じています。
ヒジノ通信vol.14/子のいない夫婦が相続でかかえる課題とは
アメリカのメジャーリーガーとして有名なイチロー選手(本名:鈴木一朗1973年生まれ)
44歳という年齢で現役、数々の世界的な記録を更新していてスゴイですね。
先日高校1年生になった息子が、
「お父さん200億円あったら何年生活できるの?」
と聞いてきたので、「普通に生活したら死ぬまでどころか、この先何代も生活できるだろうね」
なんて答えたのですが、どうやらこの数字はイチロー選手の年棒のようでした。
すごい額ですね。
つづいて
「イチローの相続ってどうなるの?」
と聞いてきました。これにはさすが我が子だなと関心したのですが(笑)
年棒200億円あれば資産総額はウン千億円?くらいにはなるのでしょうかね。
インターネットで調べて見てみると、イチロー選手の妻は元TBSアナウンサーの福島弓子さんで、ご夫婦には子どもはいないようです。 兄はデザイナーの一泰さん、チチローと呼ばれているお父さんは銀一さん、お母さんのことは書かれていません。
そして愛犬の柴犬一弓(いっきゅう)
これは妻とご自身の名前を一文字づつとったらしいです。
(引用:Wikipedia) お子さん同様に可愛がっているのが何となく伺えますね。
仮にイチローさんの相続が起きたとき、ご両親は既にお亡くなりになられていると想定しましょう。
イチローさんには子どもがいないので、相続人は妻と兄の2人になります。
ということはイチローさんの相続財産は妻の弓子さんと兄の一泰さんが分け合うことになりますが、
果たして妻の弓子さんはこのことをご存知なのでしょうか?
お兄さんとの仲はどうなのでしょうか?
そんなこと、放っておいてくれと言われそうですが…
これについて皆さんどうお感じになられましたか?
夫婦で頑張って二人で築いた財産を、面識のない人と分け合わないといけないことを、不本意と感じるのは自然なことと思います。
では兄と分け合わなくていいようにする為にはどうすればいいのでしょう?
最も簡単な方法は、イチロー選手が「妻にすべての財産を相続させる」という内容の遺言書を書くことです。
皆さんはご存知かもしれませんね。
しかも兄弟間には最低限受け取れる財産割合である遺留分がないので、裁判で要求されることもないでしょう。
他にも生前贈与や家族(民事)信託や養子縁組など利用する方法があるのですが、状況に応じて的確な対策を検討する必要があるでしょう。
ヒジノ通信vol.13/日本の食を担う農家の相続は今後どうなる?
ある農家にて…
隠居されたお祖母ちゃん(85歳)、現役の父(60歳)と後継者予定の息子さん(30歳)。
このご一族から相続診断のご依頼を受け、先日結果報告に伺いました。
そこでこのご一族の問題点であろう部分について、指摘させてもらったときのお話です。
老後の財産管理であったり、相続の財産分割であったり、相続税であったり、将来起こりうる懸念事項については、皆さんの感じ方はそれぞれ異なります。
まず会社を起業された息子さんが心配だと感じられたのは、先でお父さんが亡くなったとき自分と共に相続人となるであろう兄弟に、最低限受け取れる財産割合つまり遺留分があることでした。
もし後継者の自分が、田畑をはじめほぼ大部分が土地という財産を全て受け取った場合、もし兄弟から請求されると代償として相当額の現金を払わなくてはいけなくなるのです。
正直農業には興味がなく、仲のいい兄弟とは争いたくはないし、こんな大金も用意できないと愕然とされました。
そして息子の思いとは裏腹に、現役で農業をされている父の思いは違っていました。
父が不安と感じたのは、
「先祖代々引き継がれてきた農業が先々どうなるのか?」
ということでした。
後継者がいないこと、そしてもし相続税が払えなかったら、たとえ二束三文でも土地を売って現金を用意しないといけなくなり、農業そのものが続けられなくなるかもしれないのです。
初めてお会いしたときから感じていましたが、父は先祖代々の家業である農業に特別な思いを持っておられるようでした。
税金というより農業が途絶えてしまうことが心配なのです。
そんな父の思いに対して息子はこんな疑問を感じていました。
農業は雨の日も風の日も休まず大変な労力が必要なのに、なかなか採算がとりにくい。
なのになぜ父は兼業までして農業を守っているのだろうか?
商売人の家に育った僕には難しい問題ながら、息子さんの気持ちは理解することができました。
しかし今まで僕がお会いした農家の方々のお話から感じているのですが、農業や田畑を守ることは理屈や損得ではなく、先祖代々当たり前のこととされてきたのかもしれません。
そしてこの息子さんのように農業を継ぎたくないと感じているご子息が増えているのも事実です。
今回私が最も課題意識を感じたのは、父と息子の世代間での考え方のギャップです。
考え方の違いがあるのは仕方ないことですが、本当の問題はこういったギャップがあるにも関わらず、問題が放置されていることです。
今回は僕が間に入ってお話させていただいたことで、お互いの思いの相違や問題がハッキリしました。
この問題をどう解決するかはこれからですが、農家に限らずこのような状況はよくあることです。
まずはご家族の抱える問題について少しでも考える機会をもってもらえたらご安心ではないでしょうか。
相続とは単に財産を継ぐことだけでなく、この財産を築いたり守ってきたご苦労や思い、そして子や孫にどうして欲しいという願いも一緒に継承されていく必要があると考えています。
ヒジノ通信vol.12/財産管理と承継を家族に託せる家族信託とは
皆さんのご両親はまだお身体も判断能力も元気でいらっしゃいますか?
誰しもご高齢になると衰えがでてくるものですから、心配ごとは増えますね。
例えば外出するのが辛くなったり、金融機関などでの手続きが煩わしくなってきたり、
あるいは認知症になって判断能力がなくなることで、金融機関における入出金や不動産の売買など、様々な契約行為が出来なくなったり、
さらにその先で、突然お亡くなりになってしまい、ご遺族が遺された財産産をどのように分ければいいのか?
途方にくれてしまったり、争いになってしまったり・・・
このようになる心配ってありませんか?
実はこのような心配ごとに対して準備できる方法があるのをご存じでしょうか?
体力がなくなったときの法的手続きなど代行してもらえる「委任契約」
認知症対策としての「成年後見制度」 相続財産の行き先が決めておける「遺言書」といったものです。
いずれもどこかで聞かれた言葉かもしれませんね。
もしこれら全てが準備できたとしたら、ご安心ではありませんか?
しかもたったひとつの方法で解決できるとしたらいかがでしょうか。
それが信託という仕組みです。
しかもその信託の管理を信託会社に任せるのではなく、信頼できる家族に託せるのが今話題の家族信託です。
このたび僕の父の心配事を解決するために、家族信託契約を公正証書でつくってもらいました。
「自分はどんなになろうとも、苦労をかけてきた母のことは経済的に守ってあげて欲しい」
そんな父の切なる思いに対して、これ以上の得策はないと僕は考えました。
この家族信託というものはとても奥が深いので、ここで詳細な説明は出来ませんが・・・
簡単にいうと僕が父の財産の管理人になったということです。
父はまだ75歳、まだまだカラダも判断能力も元気なのですが、
今後もし父が認知症になったとしても、管理人である僕が父の望むように財産を動かすことが出来ます。
さらにその先で父の相続がおきたときも、次のまた次の代まで父が渡したい人に渡したい財産が相続されるようになっています。
2代以上先まで財産の行く先を指定することは、従来遺言書では出来なかったことです。
ところが信託契約を受益者が連続するよう設計することで、それが可能になったのです。
信頼できる家族に財産管理と承継を託す新しい仕組みである家族信託は、民法の上位にある特別法「信託法」で守られています。
これからますます利用者が増えていくと思われますが、
まだ事例が少ないため組成できる専門家が非常に少ない現実があります。
ご興味ある方はご紹介致しますのでお声がけ下さい。
最後に今回このように家族で将来の土野家のことを考え、家族全員が安心できる備えが出来て本当によかったです。
誰しも自分はまだ若いとか、子どもには頼れないとか言ってはみても、本音はそうではないのかもしれません。
きっと「信じて託せる人」が求められているのだと思います。
ヒジノ通信vol.11/相続の具体的な課題を発見しよう
皆さんはご自身やご家族の相続に不安はありませんか?
自信をもってハイと言えない方の為に、今回は相続の課題発見の方法についてお話したいと思います。
相続は❶誰が相続人で❷何が相続財産か、そしてそれをご本人が❸どうされたいのかにより課題は見えてきます。
ただご本人の気持ちは決まっていなくても、相続人と財産内容からある程度の課題は見えてきます。 まず相続人について考えてみましょう。
次の家系図は実際にご相談を受けたある方の事例です。
【相続人事例1】
ご相談者の父が亡くなられ相続が発生しました。
相続人は父の後妻と相談者の二人なのですが、二人はずっと仲が悪かっただけに財産分割の話し合いは円満に進まず、現在家庭裁判所で調停中となっています。
前妻との間に子がいる方が再婚された場合、こういった危険性がありますのでお気をつけください。
このように家族構成からある程度の課題は見えてきます。 では次のような一般的なご家族の場合はどうでしょう。
【相続人事例2】
父に続いてこの度亡くなられた母の相続人は相談者とその兄の二人でした。
遺言書はなく母が残した財産を平等に分けようと相談者は兄に提案しましたが、兄は「家計の都合で自分だけ大学に行かせてもらえなかったのは不公平で、自分が全ての財産を受取るべきだ」
と相続放棄を要求してきました。
かといって兄は父に家を建ててもらっており、話し合いに応じず相談者は困っています。
このように家族構成からは読めない「積年の思い」が争いにつながることもあります。
このような火種は、将来相続人となる子や孫と対話することで、はじめて見えてくるものではないでしょうか。
次に相続財産について考えましょう。
次の財産目録をご覧ください。
【相続財産事例1】
財産の大部分が不動産のケースです。
相続人が複数いたら、どう分ければいいのでしょうか?
長男など後継者に不動産を相続させたい場合、兄弟間に不公平が生じます。
預貯金と違い不動産は物理的に分けられません。
自宅等の不動産がもらえない他の相続人の不公平を補う為の代償金を、生命保険などで準備する対策が必要かと思われます。
【相続財産事例2】
預貯金などプラスの財産より借金のほうが大きいケースです。
相続人は相続を知って3カ月以内に相続放棄しないと、借金を引き受けることになります。
ただこの場合も必ずしも相続放棄がベストなのか、他の方法も併せて検討する必要がありそうです。
以上相続人と相続財産の事例から、相続における課題について紹介致しました。
ここで一番大事なのは、ご本人が誰に何をどう遺してあげたいかという思いです。
その思いが叶う為に、今どんな課題があるのか、一度確認されておかれるとご安心かと思います。
ご相談いつでもお待ちしています。