ファミリー通信vol.26/いつか必ず起きる相続その時何がおきる?昨年妻に先立たれた80代男性のケース

『転ばぬ先の杖』とは実に端的に言い得た教えであります。
 我々が日常生活を平穏無事に過ごしていても、いつ何が起きるか誰にもわかりません。 ましてや人はいつか必ずお亡くなりになるものです。
つまり誰にでも人生に一度必ず相続のタイミングは訪れるもので、このとき決して転ぶことがないよう『早めに杖を用意しておいてくださいね』というのが今号のお話です
 先日お会いしたのは、長年連れ添ってきた妻を昨年末に亡くされた80代の男性でした。
 妻には家事や家計の一切を任されていただけに、数か月経ったいま家の中は足の踏み場もない状態という。
 さらに不動産所得のあった妻の確定申告もしなければいけなくなりてんてこ舞いなのだだとか。
 家のどの引出しに何があるかすら分からない状態で、役所や金融機関からの問い合わせや対応に追われる日々が続いていたようです。
 そんなある日、妻が株の取引をしていた証券会社の女性担当者が訪問してきたそうで、
「奥様の相続の手続きを私にお任せください」と提示された遺産整理業務(手数料)の見積りはなんと数百万円…
 ちなみに遺産整理業務とは『遺言書の確認に始まり、家族関係や財産関係を公文書などで確認し、分割協議書の作成や預貯金の解約、不動産等の名義変更、そして10ヵ月以内の相続税の申告』そういった相続人に課せられる業務を代理手続きしてくれるものです。
 相続の手続きは複雑かつ役所や金融機関や様々な専門家と進めるため、大変な労力や時間や費用がかかります。
 提示された金額は高額だったものの、いつ終わるか分からない大変な業務を代行してくれると聞き、すぐにでも依頼したい気持ちになられたそうです。
 しかし数百万円…
 普段関わりのないことだけに、それが常識的な金額なのか判断できなかったことは言うまでもありません。
 ところで相続というのは大きな財産が動くタイミングであります。
 金融機関をはじめ亡くなられた方の担当者には、これをビジネスチャンスと捉える方もいれば、逆にネガティブに捉える方もいます。
 ちなみに今回のケースで証券会社の担当者が相続手続きを任せて欲しい本当の理由をおわかりでしょうか?
 高額な遺産整理業務の手数料もありますが、それよりは口座の解約による証券会社からの資金流出を止めること、と想定されます。
 これは銀行や保険会社においても同じことが言えそうです。
 地方銀行に預けていた預金も、生命保険の保険金も、都会で暮らす子供たちの都市銀行の預金口座に流れていきかねないのです。
 さらに金融資産だけでなく不動産についても言えそうです。
 ようやく利益が出はじめたアパート等の収益物件を、管理が面倒だからと子供たちが売却しようとしたり、相続税が払えないからと破格の安値での売却を余儀なくされたり…
 はたまた亡くなられた病院で、提携先だと紹介されそのまま搬送れた葬儀屋さんにて、
「皆さんそうされていますよ」とか「もう最期ですから」と、ご本人は望まなかったであろう高額な葬儀費用となってしまったり…
 そんな結末を数々と見て参りました。
 結論ですが『相続のタイミングは誰しも必ずやって来ること、そのとき大きな財産が動くこと、と同時に想定外の失敗が起きる危険性があること』
 これを皆さんに知っておいていただきたいと思います。
 ただご安心ください。
 心身ともにお元気なうちは準備ができます。
 残されたご家族が困らないよう、憂いなく相続を迎えるには、税・法律・金融資・不動産といった幅広い資産に対して、
①老後の安心の備え
②円満な財産分割
③相続税納税資金準備④相続税の節税
といった見地から課題を明確にすること。
 それを信頼と経験のある専門家に対策だけでなく、相続が起きたあとの手続きが完了するまでしっかりと面倒をみてもらうこと。
 これに尽きると考えます。
 先述の80代男性の今回の危機に対し水際でお守りできたことを、ご家族から非常に感謝されたことは言うまでもありません。
 ただこういったことはよくあるケースです。
 このことを皆さんに踏まえていただき、早めにご準備をされることを願っています。

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