ヒジノ通信vol.9/事業の承継について考える

広島県の県北の三次市というところに、Uターンして父親の農業を継ぐことになった友人がいます。
三次市では米作り続けていけない高齢の方が増えています。
その米作りを請け負うとともに野菜の栽培もして、料理人の経験を活かして将来は農家レストランや農家民泊をするのが彼の夢です。
かといって経験のない者が農業を継ぐということは容易なことではありません。
専業として収益を出していくには相当な覚悟と試練が必要です。
彼のご両親は嬉しい限りですが、なぜ父の農業を継承することを決心されたのでしょう。
それは早い時期から後継者としての意識が備わっていたからではないかと僕は考えます。
では今あなたが何かの事業をされているとしたら、その事業は将来どうなって欲しいですか?
後継者は決まっていますか?
会社や家を継いでもらうとしたら後継者が必要ですね。
まだ先のことだからと思っていても、ご自身がいつまで健康でいられるかは誰にも分かりません。
それに後継者候補と考えておられる子や孫が、あなたの事業のことを果たしてどう考えているのか、どのような人生設計をされているのか、お話されたことはありますか?
今回は事業の継承について考えてみましょう。
事業をされていない方は会社を家に置き換えて考えてみてくださいね。
事業承継を考えるとき必要なポイントは大きく2つ、経営の継承と財産の継承です。

<経営の承継>
①後継者を決める
事業を存続するためには後継者が必要です。
ご一族にいなければ第三者をたてる必要が出てきます。
M&Aもありますが、出来たらかわいい子や孫に継いでもらいたいものですね。
そうする為には早い段階からの準備が必要になります。
なぜなら子どもさんは遠方で新しいご家族と生計を立てていることもあるのです。
お父さんの事業に興味はありながらも、家を出てしまっているご子息も多いはずです。

②後継者の育成
経営者の急逝で、何も分からず後を継がされるのは大変なことだと思います。
できたら経営者が元気なうちに、お役様や協力会社・従業員の方々と、後継者の間でいい人間関係を築いてもらいたいものですね。
後継者として相応しい知識や経験を得て成長してもらえると安心ですよね。

<財産の継承>
③自社株の買取
経営者としての器であったとしても、実質的に経営者としての権利がない状態だとないんかと不都合も起きてきます。
後継者は今の株主から自社株を買い取る必要があります。
ただ自社株の買取額は、今まで積み上げてきた利益の蓄積などで大きく変動するため、気が付けばとんでもない高額になっている可能性があります。
もし買取資金を用意できなかったらどうしたらよいのでしょう。
第三者に経営を乗っ取られることがないよう、どんな準備が必要か考えておきませんか?

④事業用資産の買取
自社株以外にも、これから会社を経営していくために、後継者ご自身の名義に変える(買い取る)必要があるものがあります。
事業でつかう土地や建物や機械設備などです。

⑤経営者の相続対策
上記③④の財産の承継については、経営者の相続のタイミングで行うことで、税の面においてもより有利になる可能性はあります。
その為には必ず準備が必要となります。
以上、事業承継におけるポイントを簡単に挙げさせていただきました。
僕は事業承継を単に効率よく行っていただきたいわけではありません。
ご家族に事業を継いで欲しいという思いが少しでもおありでしたら、出来るだけ早く後継者候補の方とお話をして欲しいと思います
ご自身がいつまでお元気でいられるかということは分かりませんが、これから50年後には日本の人口8000万人の時代を迎えます。
市場の縮小や人手不足で、これから生き残れる事業はどんどん限定されていくでしょう。
そういった先までをご家族と一緒に考え、必要であれば何かしらの対策をしていくのが、親や経営者としての責務であると僕は考えています。

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